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王子動物園のD51 211が須磨へ里帰り 鷹取工場生まれの機関車が戻る場所

アクセス・交通

王子動物園の奥に、黒い機関車が静かに置かれていたのを覚えている方も少なくないでしょう。
動物を見に来た子どもたちが、帰り道に少しだけ寄り道する場所。
そこにあった機関車が、須磨へ移されます。行き先は、旧鷹取工場跡地に隣接する下中島公園。この機関車にとっては、移設ではなく「里帰り」に近い出来事です。

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王子動物園の「動物とこどもの国」にあった黒い機関車

王子動物園内の「動物とこどもの国」エントランス。

王子動物園の「動物とこどもの国」内に、蒸気機関車D51 211号が展示されていました。

黒い車体は、木々の緑の中に半分隠れるように置かれています。近づくと、正面のナンバープレートに「D51 211」の文字。

子ども向けのエリアにあるのに、そこだけ少し時間が違って見えます。

王子動物園に展示されているD51 211。

動かない機関車。近くで見ると鉄の重量感が感じられます。

展示物というより、かつて本当に走っていたものが、そのまま時間を止められているようでした。

王子動物園によると、D51 211号は1938年(昭和13年)に当時の鉄道省鷹取工場で製造された第1号機で、1971年に当時の日本国有鉄道から無償貸与を受けて以来、園内に設置されてきました。

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D51 211は鷹取工場で生まれた第1号機

車体に付けられた銘板。昭和13年製であることがわかる。

D51 211号は、いわゆる「デゴイチ」と呼ばれるD51形蒸気機関車の1両です。

ただし、この機関車には神戸との特別な関係があります。

D51形全体の中では211番目にあたりますが、鷹取工場で製造されたD51としては第1号機です。車体にも「鉄道省 鷹取工場 昭和13年 製造番号1」と記された銘板が残されています。

鷹取工場は、かつて神戸の鉄道を支えた大きな存在でした。

その工場で作られた機関車が、戦前、戦中、戦後を走り、やがて王子動物園で子どもたちに見守られる存在になりました。総走行距離は約180万キロ、地球約45周分に相当すると紹介されています。

数字だけ見ると遠い話です。しかし、車体の錆や黒い塗装の厚みを見ていると、その距離が少し現実になります。

たくさん走ったものだけが持つ、沈黙の重さがありました。

青い車掌車の中に残る昭和の空気

機関車には2車両が連結されている。

D51の後ろには、青い車両が2両連なっています。

公式発表では、SLとともに移設されるのは「車掌車(客車に改修)2両」とされています。

改修された客車の内部。

自由に立ち入ることができる改修された客車内に入ると、そこには昭和の休憩室のような空気が残っていました。

現在の鉄道車両にはない、少し無骨な感じを与える空間です。若い世代はこのような体験から昭和を感じるのではないでしょうか。

二両目の車内は、テーブルも設置され休憩所仕様。

青い車両の中に自由に出入りできたことで、外にある機関車を見る楽しさと中に入って座る楽しさが体験できた場所となっていました。

この2つがそろっていたから、王子動物園のD51は長く親しまれてきたのかもしれません。

須磨へ戻りもう一度見られる場所へ

D51 211号と車掌車2両は須磨へ移設される予定。

今後、D51 211号と車掌車2両は、王子動物園のリニューアルを機に、須磨区中島町の下中島公園へ移設される予定です。

王子動物園によると、移設先は生まれ故郷である鷹取工場跡地に隣接する場所で、今後は自由に見られる新たな展示環境をつくり、産業遺産として保存していく方針です。

王子動物園で長く過ごした機関車が、須磨へ戻る。これは単なる展示場所の変更ではありません。

神戸で生まれ、神戸で働き、神戸で子どもたちに見られてきた機関車が、ようやく生まれた場所の近くへ戻ることになります。

移設後の公開時期は、現時点ではまだ未定です。

ただ、再び見られる場所として整備されるなら、そこには新しい意味が生まれます。

古い機関車を残すことは、鉄道ファンのためだけではありません。街が何で動いてきたのかを、子どもたちに見せることでもあります。

港があり、工場があり、鉄道があった神戸。その産業の記憶が、黒い車体と青い車掌車に残っています。

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