神戸の伝説的書店「海文堂書店」の元店員による新著が登場。神戸の深い歴史のエピソードが満載の書籍を紹します。
2013年に閉店した「海文堂書店」
簡単に「海文堂書店」について説明しておきます。神戸元町商店街にあった「海文堂書店」は、大正3年(1914)の創業。神戸大空襲では店舗が焼失するなど様々な困難を乗り越え、神戸元町にはなくてはならない書店となりました。
しかし、ネットでの書籍販売が台頭する時代背景による書店の経営危機の波は「海文堂書店」にも襲い掛かります。創業99年の年となる2013年に惜しまれつつ「海文堂書店」は閉店します。
「海文堂書店」の記憶を残すために書いた本
いまでも神戸では多くの方の記憶に残り語られている「海文堂書店」ですが、そのときの記憶や出来事を文章で残しているのが元店員だった平野義昌さん。平野さんは『みなと元町タウンニュース』(みなと元町タウン協議会)に連載しています。また「海文堂書店」が閉店後も、『海の本屋のはなし』にまとめ上梓しています。
そして今回出版した新著が『神戸元町ジャーナル 通り過ぎた人々、喪われた街』。平野さんが書店員時代に執筆した『神戸元町ジャーナル』の原稿に編集者の柳原一徳さんが修正加筆をして書かれたものです。
『神戸元町ジャーナル 通り過ぎた人々、喪われた街』は、書店員の視線から見た神戸の街の歴史や出来事、神戸の書店のことが登場します。神戸開港時代からの神戸を振り返っている話題も多く、神戸の歴史をあらためて知ることができる内容にもなっています。表紙には、昭和の反体制派ポスターが貼られた壁を写した写真を採用しているところから、思想のスタンスを知ることもできます。
イデオロギー的なものは別にしても、神戸の歴史読本としても楽しめる内容です。忘れ去られていく神戸を知ることができる一冊としてもお勧めします。







