新幹線の新神戸駅を南に出て、生田川沿いを少し下った場所に、白い大理石に100匹の龍が刻まれた壮麗な壁画「百龍嬉水(ひゃくりゅうきすい)」があります。訪れる人の多くは、駅からほど近いこの場所に、そんな壮観な彫刻があることを意外に思うでしょう。
神戸市と天津市の友好都市提携20周年を記念して、1993年4月に寄贈された「百龍嬉水」は、神戸の玄関口にふさわしい作品として設置されました。
100体の龍が舞う「百龍嬉水」
1993年4月に完成したこの壁画は、知恵と力の象徴である“龍”が、水とたわむれながら天に昇る姿を表現しています。
約100体の龍が一面に彫り込まれた光景は圧巻で、晴れた日には白い大理石が陽光を反射し、龍たちが生きているかのような躍動感を放ちます。
作品名にある「嬉水(きすい)」は、“水と戯れる”という意味を持ちます。
古来より龍は、自然のエネルギーや再生の象徴とされ、繁栄と調和を願う存在でもあります。
公園内にある「連翼亭」
「百龍嬉水」のすぐ横には、もう一つの贈呈建築「連翼亭(れんよくてい)」があります。
二つのあずまやが翼を広げるように連なった優美な造形で、中国・清王朝時代の宮殿建築様式を基に設計されました。この「連翼」という言葉には、両市が“翼を並べて共に発展していく”という意味が込められています。
ここは木陰が心地よく、ベンチに座ってゆっくり龍の壁画を眺めるのにぴったり。地域の方の憩いのスポットにもなっています。
都市の中に息づく交流の記憶
新神戸駅にほど近いこの一帯は、周囲の近代的な景観の中に静かに溶け込みながらも、訪れる人に強い印象を残します。大理石に彫り込まれた龍の立体感。それを眺めていると、30年以上前に築かれた国際交流の歴史が、今も形としてここに息づいていることも実感します。
「百龍嬉水」「連翼亭」所在地
神戸市中央区熊内町付近(新神戸駅南側・生田川沿い)
アクセス:新神戸駅南口から徒歩約3分







