神戸市営地下鉄海岸線の駅構内に、赤ちゃんの手形と足形を残したタイルがあります。
2000年に神戸で生まれた子どもたちの小さな記録。
その中には、フィギュアスケートで世界の頂点に立った坂本花織さん、柔道でオリンピック金メダルを獲得した阿部詩さんの手形・足形も残されています。
まだ未来が何も決まっていなかったころの、小さな手と足。
それがいま、神戸から世界へ続いた静かな記録のように見えてきます。
神戸市営地下鉄海岸線に残された赤ちゃんたちの記録
神戸市営地下鉄海岸線の駅構内には、赤ちゃんの手形・足形を焼き付けたタイルが設置されています。
これは、神戸市営地下鉄海岸線の開業を記念して、2000年に神戸市内で生まれた赤ちゃんを対象に募集されたものです。
集まった手形・足形は、海岸線の各駅構内に設置され、現在も通路の壁面などで見ることができます。
タイルには、赤ちゃんの名前、生年月日、手形、足形、そして家族からの短いメッセージが残されています。
駅の中にあるため、普段は何気なく通り過ぎてしまう場所かもしれません。
けれど立ち止まって見ると、そこには一人ひとりの誕生を祝う、家族の時間が刻まれています。
新長田駅にある坂本花織さんの手形・足形
フィギュアスケートの坂本花織さんの手形・足形は、神戸市営地下鉄海岸線の新長田駅構内にあります。
場所は、新長田駅の改札を出て左側の通路壁面。
駅案内の看板がある通路を進むと、壁一面に手形・足形のタイルが並んでいます。
その中に、坂本花織さんのプレートがあります。
坂本花織さんは、神戸市出身のフィギュアスケーター。
北京冬季オリンピックでは女子シングルで銅メダルを獲得し、世界選手権でも複数回優勝。日本女子フィギュアスケートを代表する存在として、長く世界の舞台で活躍してきました。
2026年5月には神戸市内で現役引退会見を開き、競技生活に区切りをつけました。その会見の最後には、結婚も発表。
競技者としての時間を終え、新しい人生の一歩を踏み出した坂本さん。
その原点のような小さな記録が、新長田駅の壁に残されています。
三宮・花時計前駅にある阿部詩さんの手形・足形
柔道の阿部詩さんの手形・足形は、神戸市営地下鉄海岸線の三宮・花時計前駅にあります。
場所は、改札を出てすぐの階段・エスカレーター横の壁面です。
白い壁に、赤、青、緑の手形・足形が整然と並んでいます。
その中に、阿部詩さんのプレートがあります。
阿部詩さんは、神戸市出身の柔道選手。
女子52kg級で活躍し、東京2020オリンピックでは金メダルを獲得しました。兄の阿部一二三さんとともに、兄妹同日金メダルという快挙でも知られています。
阿部詩さんのプレートもまた、神戸で生まれた小さな記録が、世界の舞台へとつながっていったことを静かに伝えています。
偶然残された場所が後から意味を持つ
2000年に神戸で生まれた赤ちゃんたち。
その家族が応募し、手形と足形を残しました。
どの駅に設置されるかは、本人や家族が選んだものではありません。
だから、坂本花織さんの手形・足形が新長田駅にあり、阿部詩さんの手形・足形が三宮・花時計前駅にあることも、もとは偶然です。
街の記憶は、こうした偶然から生まれることがあります。
通路の壁に並ぶタイル。
その中の一枚に、後から意味が宿る。
誰かが見つけ、誰かが立ち止まり、また誰かに伝える。
そうして駅の片隅にある小さなタイルが、神戸の新しい見どころになっていきます。










