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90年ぶりに神戸へ帰ってきた名画 小磯良平展《日本髪の娘》と時を超える美しさの世界

アート・カルチャー

神戸を代表する洋画家・小磯良平の幻の名作《日本髪の娘》が、約90年ぶりに日本へ、そしてゆかりの地・神戸へ戻ってきました。
韓国国立中央博物館に所蔵されていたこの作品は、戦前に神戸・山本通のアトリエで描かれた一枚。現在、神戸市立小磯記念美術館で里帰り展示され、その静かな存在感が多くの来館者を惹きつけています。

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神戸で生まれ、海を渡った「幻の名作」

《日本髪の娘》が描かれたのは1930年代、神戸・山本通にあった小磯良平のアトリエでした。
1935年の「第一回第二部会展」に出品され高い評価を受けた後、当時の李王家美術館(現在の韓国国立中央博物館)が購入。日本を離れて以降、その所在が長く分からず、「幻の作品」として語られてきました。

2008年、韓国での特別展をきっかけに再発見され、そして今回、ついに日本での公開が実現しました。小磯自身のアトリエがあった神戸でこの作品と再会できることは、まさに「里帰り」と呼ぶにふさわしい出来事です。

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画面に満ちる、凛とした静けさ

会場で展示されている「日本髪の娘」。

展示室で《日本髪の娘》の前に立つと、まず感じるのはその静けさです。
日本髪を結い、黒い着物に身を包んだ女性は、どこか緊張を帯びた佇まいで椅子に腰掛けています。視線は少し伏せられ、見る者に語りかけるというよりも、内面の時間に沈んでいるようにも見えます。

華やかさではなく、気品と沈黙で人を引き寄せる――まさに小磯良平の女性像を象徴する一枚だと感じました。

「踊り子」と並ぶことで見えてくる小磯のまなざし

「日本髪の娘」と並んで展示される「踊り子」は同時期に同じモデルで描かれた作品。

今回の展示で見逃せないのが、《日本髪の娘》と同時期に描かれた《踊り子》が隣に並んで展示されている点です。
どちらも同じモデルを描いた作品でありながら、佇まいと空気は大きく異なります。

《踊り子》は舞台衣装をまとい、華やかさと若さを感じさせる一方で、《日本髪の娘》は抑制された色調と姿勢の中に、内面の緊張感が宿っています。
この2点を見比べることで、小磯が単に「女性の美」を描いていたのではなく、その人が纏う時間や感情までを絵の中に閉じ込めようとしていたことが伝わってきます。

当時のまま残された「額装」にも注目

さらに興味深いのが、この2作品がいずれも制作当時の額装のまま展示されていることです。
重厚でクラシカルな額縁は、作品とともに時代をくぐり抜けてきた存在。単なるフレームではなく、作品の歴史そのものを感じさせてくれます。

絵だけでなく、額も含めて鑑賞することで、1930年代の空気がより立体的に浮かび上がってくるように感じられました。

神戸で見るからこそ、心に残る一枚

「日本髪の娘」のモデルが着用していた着物のレプリカも展示。

会場には、《日本髪の娘》のモデルが着用していた着物のレプリカも展示。これは当時、大阪の高島屋で出品されていた逸品で小磯が購入したもの。華やかに抽象性の高いデザインとなっています。

《日本髪の娘》は、ただの名画ではありません。それが描かれた神戸という土地で、90年の時を超えて再び向き合うことで、作品は「歴史」から「今の体験」へと変わります。

神戸の街で生まれ、海を渡り、そして戻ってきた一人の女性のまなざし。
その静かな力強さを、ぜひ実際の会場で感じてみてはいかがでしょうか。

開催概要

  • 特別展「小磯良平展―幻の名作《日本髪の娘》」
    会期:2026年1月10日(土曜)~3月22日(日曜)
    会場:神戸市立小磯記念美術館
    神戸市東灘区向洋町中5丁目7(六甲ライナー「アイランド北口駅」下車すぐ)
    開催時間:10時00分~17時00分(入館の受付は、16時30分まで)
    休館日:月曜日(1月12日、2月23日は開館)、1月13日(火曜)、2月24日(火曜)
    入館料:一般:1,200円(1,000円)大学生:600円(500円) ※()内は前売及び、20名以上の団体料金
    高校生以下:無料 ※学生証、生徒手帳などをご提示ください
    神戸市在住の65歳以上の方:600円 ※住所と年齢が証明できるものをご提示ください
    障がい者手帳またはスマートフォンアプリ「ミライロID」等のご提示の方:無料

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