高架下に、光が差し込んでいます。かつて人であふれていた通路は、いま静かに伸びています。
神戸・元町高架下「モトコー」は、すべてのシャッターが閉じられました。そこに残っているのは、店ではなく、時間の層のようなものです。
モトコーのシャッターが閉められた
高架下の入口に立つと、すでに空気が違います。看板は残り、文字も読めるのに、そこに営みはありません。
シャッターには落書きが重なり、その奥にあったはずの店の気配だけが、かろうじて残っています。
開いていた頃の賑わいを知る人ほど、この静けさに少し戸惑うのかもしれません。
モトコーとはこんな場所だった
元町駅から神戸駅まで続く高架下。細い通路の両側に、店が並ぶ独特の構造。
もともとは戦後の混沌の中から闇市として生まれた場所とも言われ、そのまま形を変えながら続いてきました。
整えられすぎない空間。少し雑然としていて、それがむしろ心地よい。
モトコーは、どこか街の裏側のような場所でした。
個性的な店がひしめき合っていた
ここには、決まったジャンルがありませんでした。
古着、レコード、雑貨、工具、飲食店。一見すると無秩序に見える配置の中に、それぞれの店の個性がありました。
商品が溢れ、通路にまで広がるような光景も、この場所では自然な風景でした。
均一ではないことが価値だった。その空気が、この通路の幅や高さと、不思議と合っていました。
解体前に感じておこう
現在はすべてのシャッターが閉じられ、時間だけが流れているような状態です。
やがてこの場所は解体され、別の形に整えられていきます。
ただ、完全に消える前のこの時間には、独特の密度があります。
何もないようで、むしろすべてが残っているような状態。
歩いていると、ふと、ここにあったはずの店の音や匂いが、思い出のように立ち上がります。
いまのモトコーは、「何があったか」を想像できる最後の時間なのかもしれません。






