神戸・王子動物園のシンボルとして長く愛されたジャイアントパンダ「タンタン」。その姿が園内から消えてから、少し時間が経ちました。では、パンダがいなくなったあと、王子動物園のパンダ館はどうなっているのでしょうか。実際に訪れてみると、残された展示や案内板から、タンタンがこの地に刻んだ足跡が静かに伝わってきます。
王子動物園と「タンタン」の記憶
王子動物園といえば「パンダ」と答える人も多いほど、「パンダ」は神戸市民にとって欠かせない存在でした。来園者を笑顔にし続けたその姿は、今も多くの人の記憶に鮮明に残っています。タンタンが旅立ったいまも、動物園ではその存在を忘れさせない工夫をしています。
園内の案内板に刻まれる“別れの告知”
王子動物園内を歩くと、パンダに関する案内板や標識の上から「タンタンへの応援に対して感謝します」というお知らせが丁寧に貼られています。このお知らせを見ると本当にタンタンはもういないという現実を突きつけられ、胸が締めつけられる思いがします。
パンダ館の展示──「神戸とジャイアントパンダのあゆみ」
パンダ館の入口には「神戸とジャイアントパンダのあゆみ」というタイトルが掲げられ、館内はそのままの状態で保存されています。壁には写真や資料が並び、タンタンなどが神戸で過ごした軌跡をたどれる展示が続いています。
かつてタンタンが暮らした展示スペースには、等身大のパネル写真が立ち、まるでそこにまだタンタンがいるかのような錯覚を覚えます。その周囲には、実際に使われていた食器や飼育用具が使っていたタンタンの写真とともに展示されています。それを使っていたタンタンの写真と合わせて見ているとパンダにさほど思い入れがない方でも少し涙が出そうになるかもしれません。
野外展示場に残る“空白のスペース”
外に出ると、かつてタンタンが歩き回っていた野外展示場がそのままの姿で残されています。芝生や木々は整えられているものの、そこに主役がいない光景はやはり寂しく、どこかぽっかりと穴が空いたような雰囲気が漂っていました。
記憶をつなぐ場所としてのパンダ館
いまのパンダ館は「空虚」と「記憶」が同居する特別な空間です。そこに行けば、確かにタンタンはいた――その証拠を展示や資料が静かに語ってくれます。パンダはいなくとも、王子動物園は“思い出を守り伝える場”として、これからも訪れる人に寄り添っていくのでしょう。







